この記事では、小さなカメラ、リコーGRⅢで撮った北陸のレトロな鉄道風景を紹介しています。
旅のお供に小さなカメラ
GRⅢは手のひらサイズの小型ボディに、比較的大型のセンサーと高精細なレンズを搭載した、スナップ撮影に人気のコンパクトデジタルカメラです。
道中で鉄道撮影をする旅行では、普段はミラーレスや一眼レフのカメラを持って行きます。しかし鉄道以外の用件のために荷物が多かった今回は、コンパクトなGRⅢを選択しました。
正直、スナップ向きの印象があるGRⅢで満足いく鉄道写真は撮れるのか?と、やや不安を感じていましたが、乗り鉄中心の今回の旅行では、このカメラだけでほぼ満足することができました。
ここからは道中の模様を交えながら、撮影した写真を見ていきます。なおGRⅢの35mm版換算焦点距離は28mmですが、掲載した写真には35mm・50mm相当のクロップを多用しています。GRⅢを使用した鉄道の撮影例としてご覧いただければ幸いです。
えちごトキめき鉄道の観光急行
今回の北陸旅行の最初の訪問地、えちごトキめき鉄道は「日本海ひすいライン」と「妙高はねうまライン」の2路線からなる鉄道です。2015年まではそれぞれ、JRの北陸本線と信越本線だった路線ですが、北陸新幹線が開業した際に、並行在来線として第3セクターの経営に移りました。
この鉄道の売りとなっているのが観光急行です。国鉄時代に製造された、いわゆる国鉄形車両を使用した列車で、昭和の鉄道旅行の雰囲気を味わうことができます。
この車両は、観光急行としては「日本海ひすいライン」の直江津~市振を土曜・休日に2往復するほか、朝方には「妙高はねうまライン」の直江津~妙高高原を普通列車として1往復します。前日に別件のあった東京から北陸新幹線で上越妙高入りした私は、まずこの普通列車に乗ることにしました。
妙高高原へ往復
朝早く起きたので、まずは上越妙高7時47分発の普通列車で直江津まで迎えに行きます。直江津に着くと、ちょうど観光急行の車両が車庫からホームへと入れ替えをするところでした。まずはホームへの入線を撮ります。直江津側の先頭車はクモハ413-6です。
50mmクロップをすることで、動く車両に対してもシャッターのタイミングが取りやすくなります。陽射しがまぶしかったですが、GRⅢのモニターの明るさをを+1にして問題なく撮影できました。
今回の道中、屋外ではモニターを+1にすることが多かったです。+2まで上げたのは1度だけだったと記憶しています。
先頭車のクハ455-701に乗車します。この車両は急行用に製造された車両で、後に普通列車用に改造されていますが、往時のままのボックスシートが魅力です。
車内には国鉄時代のポスターも再現されています。
車内に神社があります。クハ455がご神体です。
妙高高原行きは8時42分に出発します。上越妙高までの間にぼちぼち乗り降りがあり、その先はこの車両に乗りに来た観光客がメインとなります。乗客は数名と空いていたので、左右のボックスシートを行き来できました。
GRⅢは車窓を撮るのに向いています。気になる風景が現われたらスッとカメラを構えてシャッターを押す。この一連の動作にGRⅢのサイズと形状がよくはまります。シャッター音も非常に小さくて気になりません。そのため列車撮影用に大きなカメラを持っていく時でも、GR3は必携となっています。
妙高などの信越の山々を眺めているとやがて谷間に入り、終点の妙高高原に到着します。これより先は長野県側の第3セクターしなの鉄道となります。
列車は折り返して直江津行きとなります。クハ455の先頭部の表示は「急行」のままですが、これはシールで変えられないためで、実際は普通列車です。
直江津に戻ると、観光急行の発車までの1時間ほど、ホーム上で車内整備の時間となります。乗車できるのは発車の15~20分ほど前でした。
海を眺めながら市振へ
直江津を11時31分に発車。ここからが観光急行の旅となります。動きの遅い台風が日本列島に留まっているためか、天気は良いのに乗客はまばらでした。
次の谷浜付近から日本海が見えてきます。観光急行というだけあって、景色の良いところでは徐行運転してくれます。車内アナウンスによれば、「急行」というのは「急がずに行く」の略とのこと。
能生で15分ほど停車します。乗降できない「運転停車」という扱いですが、ホームに降りられるので、車両をじっくり観察することができます。この記事の冒頭写真もここで撮りました。
糸魚川での停車を経て、12時52分に終点の市振に到着します。海と山に挟まれた県境の小駅ですが、富山県側の第3セクター、あいの風とやま鉄道との境界にあたるため、観光急行はここで折り返します。
構内にレンガ造りの倉庫が建っています。駅舎を出ると近くから見ることができます。
私はこの先、富山方面に向かいます。折り返しの観光急行を見送って、後続の列車を待ちます。
市振を後にして
市振からは、あいの風とやま鉄道で旅を続けます。泊までは、えちごトキめき鉄道からの直通列車に乗車。
泊からはとやま鉄道の車両で宿泊地の高岡へ。高岡はJR城端線・氷見線との接続駅です。JRの車両基地には国鉄形ディーゼルカーが居並び、ふたたび昭和の風情を感じます(今回は訪問できませんでした)。
次回は石川県の北陸鉄道をめぐります。
高岡の路面電車・万葉線は3回目にめぐります。
※本記事の内容は2024年9月時点のものです。